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格安SIMでテザリングはできるか

投稿 更新 著者 賀来泰史

格安SIMでテザリングはできるのかというと、格安SIMそのものにはテザリングについて制約があるわけではないので、基本的にはできます。ただし端末との組み合わせによってはできなくなることもあります。

ドコモ旧機種ではできない

そもそもテザリングはSIM側の機能ではなく端末側の機能なので、SIMがキャリアのものであろうとMVNOのものであろうと、あまり関係はありません。端末がテザリングに対応しているかどうかが重要なのです。

それでは端末がテザリングに対応していればそれでいいのかというと、そう単純な話でもありません。格安SIMとドコモ旧機種を組み合わせると、テザリングができなくなるという問題があります。

ドコモ旧機種とは、2016年4月以前に発売されたドコモのスマートフォンとタブレットのうち、BlackBerry端末を除くすべてです。

この条件に当てはまるドコモ旧機種でテザリングをしようとすると、接続先が通常APNからテザリング専用APNへと切り替わる仕様になっています。このテザリング専用APNにはspモードの契約がなければ接続できません。

ところが格安SIMではspモードの契約がないので、格安SIMとドコモ旧機種を組み合わせてテザリングをすると、通常APNからテザリング専用APNに切り替わった段階で、データ通信が途切れてしまうのです。

Bluetoothなら例外も

格安SIMとドコモ旧機種の組み合わせでも、テザリングをする方法がないわけではありません。BluetoothのDUNプロファイルなら、例外的にspモードの契約がなくてもテザリングができるようになっています。

しかしそもそも、このDUNプロファイルに対応しているドコモ旧機種がそれほど多くないという問題があります。Bluetoothテザリングをするなら、あらかじめBluetoothの規格を確認しておく必要があります。

それにたとえ端末がDUNプロファイルに対応していて、Bluetoothテザリングができることになったとしても、今度はBluetoothテザリングでは通信速度が出にくいという別の問題が浮上してきます。

Bluetoothの仕様上、Bluetoothテザリングで通信速度が出にくいのは仕方のないことです。Bluetoothの規格にもよりますが、実測値はせいぜい1Mbpsくらいにしかなりません。それを受け入れられるかどうかです。

root化という最終手段

端末をroot化したり設定変更アプリを使ったりして、端末の設定を強制的に変更することで、格安SIMとドコモ旧機種の組み合わせでテザリングをしようとしたとき、APNが切り替わるのを防ぐという方法もあります。

しかしたとえこのような方法を採ったとしても、格安SIMが正常に動作する保証はありません。それだけならまだしも、端末が不具合を起こし、最悪の場合は起動すらしなくなるようなこともあり得ます。

さらには端末をroot化するとメーカーの保証対象外となり、端末が故障したときに修理や交換などのサポートが受けられなくなります。

このように端末の設定を強制的に書き換えることには重大なリスクがあり、決して初心者が軽々しく手を出してはいけません。どうしてもドコモ旧機種を使いたいときの最終手段として考えておいてください。

申し込みや追加料金は不要

キャリアの一部プランでテザリングをするには、テザリングオプションの申し込みをしたり、追加料金を支払ったりしなければならないことがあります。これは何も旧プランに限ったことではありません。

例えばドコモのパケット定額サービスであるウルトラパックでは、テザリングオプションの申し込みは不要ですが、2018年4月から月額1080円(税込)の追加料金が課金されることになっています。

しかし格安SIMなら、テザリングオプションの申し込みをしたり、追加料金を支払ったりする必要はありません。いずれの格安SIMも、申し込みをすることなく無料でテザリングができます。

テザリングの設定方法

ただSIMを端末に入れただけでは、テザリングはできません。端末の設定を変更し、テザリングを有効化する必要があります。この手順は端末のOSによって若干異なりますが、それほど難しくはありません。

iOSではテザリングはインターネット共有と呼ばれます。設定画面で「モバイルデータ通信」→「インターネット共有」と進み、インターネット共有をオンにすれば、他の端末からWi-Fi、Bluetooth、USBで接続できます。

Androidでは機種にもよりますが、たいていはテザリングのアプリで、Wi-Fi接続やUSB接続などの項目にチェックを入れれば、テザリングができるようになります。機種ごとの設定方法は取扱説明書などを参考にしてください。