格安SIMでおサイフケータイは使えるか
Androidのおサイフケータイは、格安SIMでも使えることは使えます。ただし一部機種で一部サービスが使えなかったり、一部サービスで一部機能が使えなかったりと、不都合が生じることもあります。
端末が対応していれば使える
まず前提として知っておきたいのは、おサイフケータイが使えるかどうかはSIM側の問題ではなく、端末側の問題だということです。
基本的には端末がFeliCaに対応していれば、おサイフケータイは使えると考えてください。FeliCaとはソニーが開発した非接触ICカードの通信方式で、おサイフケータイにはこのFeliCaが用いられています。
キャリアのスマートフォンは、ビジネス向けスマートフォン、シニア向けスマートフォン、ジュニア向けスマートフォンなどの例外を除けば、近年発売された機種はおおむねFeliCaに対応しています。
SIMフリースマホは、日本のみならず世界各国で販売されるグローバルモデルのものが多いということもあり、日本以外での普及が進んでいないFeliCaには対応していないものも少なくありません。
しかし格安SIMの普及が進むにつれ、FeliCaに対応したSIMフリースマホも徐々に増えてきており、SIMフリースマホでおサイフケータイが使えないという認識は、もはや過去のものになりつつあります。
一部サービスが使えないことも
端末がFeliCaに対応していればおサイフケータイは使えますが、それはおサイフケータイのすべてのサービスが使えるということを必ずしも意味しません。おサイフケータイの一部のサービスが使えないこともあるのです。
例えばソニーモバイルコミュニケーションズのXperia J1 Compactという端末は、発売当初は楽天EdyとWAONにしか対応しておらず、発売後のアップデートで使えるサービスがだんだんと増えていったという経緯があります。
格安SIM用の端末を選ぶときには、それがおサイフケータイに対応しているかどうか確認するのは当然として、おサイフケータイのどのサービスに対応しているのかということまで確認するようにしてください。
ちなみにiPhoneならこのようなことを意識せずに済みます。端末がFeliCaに対応しているということは、Apple PayのiD、QUICPay、Suicaが使えるということをそのまま意味します。
勘違いしがちですが、iPhone 6シリーズ、iPhone 6sシリーズ、iPhone SEはApple Payには対応していてもFeliCaには対応していないので、アプリやブラウザーでの決済しかできず、店舗での決済はできません。
モバイルSuicaは問題なし
Android向けのモバイルSuicaのアプリは、SIMが端末に入っていなければ起動しません。このときのSIM認証は、格安SIMでも突破できることが分かっています。
SIMなら何でもいいわけではなく、SIMロックが掛かっていればそれを考慮する必要はありますが、キャリアのSIMだけが使えてMVNOのSIMは使えないなどという決まりがあるわけではありません。
実は解約済みのSIMも使えます。私が実験したところ、EMOBILEの解約済みのSIMを、同じくEMOBILEのARROWS S EM01Fというスマートフォンに入れた状態で、モバイルSuicaのアプリを起動できました。
それどころか、真偽の程は定かではありませんが、ダミーのSIMでもモバイルSuicaのアプリを起動できたなどという、眉唾ものの話もあります。
とにかくSIMと端末のキャリアの組み合わせを間違わなければ、格安SIMでもモバイルSuicaは使えます。もちろん端末がFeliCaとモバイルSuicaに対応している必要があるのは、言うまでもありません。
iDはちょっとした問題あり
電子マネーのiDにはApple Pay版とおサイフケータイ版があります。格安SIMでiDを使う上で、Apple Pay版にはこれといった問題はありませんが、おサイフケータイ版にはいくつかのちょっとした問題があります。
Android向けのiDのアプリは、ドコモかSIMフリーの端末でしか使えず、さらにアプリで設定をするにはspモードかWi-Fiへの接続が必要で、インターネット決済をするにもspモードへの接続が必要になる場合があります。
ここで問題となるのがspモードです。格安SIMはspモードに接続できないので、設定やインターネット決済で不便を強いられることになります。
それが我慢できなければ、いっそおサイフケータイ版iDはあきらめて、代わりにQUICPayやApple Pay版iDなどを使うことも検討してみてください。